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2.3 乗り物(実機)を用いた計測

乗り物酔いの発症メカニズムを解明するためには、人体に加わる低周波動揺刺激と人体の生理的、心理的反応を計測し、その関係を明らかにしなければならない。動揺模擬装置による動揺暴露実験では、再現性のある動揺刺激を人体に加えることは可能であるが、動揺刺激の大きさ、激しさ、周辺条件の面では実機(船)のそれと大きく異なるところがある。従って、動揺模擬装置を用いた動揺暴露実験で得られた研究成果の妥当性、信頼性の検証の意味において、実機を用いた動揺暴露実験は必要である。
本研究では、フェリー、高速艇、列車、遊具を用いた実機試験を行った。
2.3.1 実験方法
1)航路、鉄道路線、遊具実験場所の選定
実機試験のうち実船試験に関しては想定される航路が多数あるので、予め実験航路の選定を行った。航路の選定に当たっては
?比較的荒れた海象に遭遇する機会の多い航路
?乗船する船の大きさとしては、動揺が問題となる中小型船、具体的には長さ100m前後の船
?数日間以内の比較的短期間で実船計測が終了できる航路
?関係鉄道会社、遊園地の協力が得られること
等を考慮し、効率的な実船実験ができるよう乗船経験者の意見なども参考にしながら検討した。検討の対象となった航路は以下の通りである。
(1)東京−八丈島航路「B丸」 (長さ:100m)
(2)東京−父島航路「C丸」 (長さ:100m)
(3)新潟−佐渡航路「D丸」 (長さ:110m)
(4)臼杵−八幡浜航路「ニューE」 (長さ:100m)
(5)七類−隠岐諸島航路「フェリーF」 (長さ:85m)
(6)鹿児島−屋久島航路「フェリーG」 (長さ:107m)
(7)博多−五島列島航路「フェリーH」(長さ:73m)
これらの航路について、個々に具体的な概略実験スケジュールを組み、実船実験を進める上で不都合な点はないか、また、日程面・経費面で問題はないか等の総合的観点から実現の可能性を分析した。その結果、実船試験に関しては平成6年度は、
?東京−八丈島航路
?七類−隠岐諸島航路
?鹿児島−屋久島航路
平成7年度は、前年の経験を生かして、
?博多−五島列島航路
?東京−八丈島航路
?七類−隠岐諸島航路
平成8年度は、高速艇の実験を加えるために、
?博多−五島列島航路

 

 

 

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